第一回定例本会議が召集されました。
2月20日から一か月続きます。平成24年の予算審議が行われます。区議会自民党を代表して質問を実施しました。
質問詳細
それでは、平成24年第1回定例本会議にあたり、区議会自由民主党を代表して通告に従い御質問させていただきます。
昨年、江戸川区およびわが国を取り巻く環境は激変しました。
3月に東日本大震災が発生し東北地方沿岸部の多くの町に壊滅的な被害をもたらしました。それに伴い発生した福島第一原発の事故は、多量の放射性物質を広範囲に撒き散らし、甚大な被害を今も引き起こしています。夏には各地に多くの被害をもたらした2つの大型台風が上陸しました。我々日本人は自然災害の恐ろしさを改めて目の当たりにし、今まで設定していた「想定」がすべて覆された感じでした。
また、ギリシャにおいては、2009年10月に政権交代したことにより表面化した膨大な財政赤字からギリシャ経済の危機が叫ばれ始め、昨年夏を過ぎたころから、ギリシャ債権の大幅な格付け引き下げにより欧州全体の経済危機が叫ばれるようになり、欧州通貨のユーロの存在が脅かされています。ユーロ為替相場は昨年4月に120円あったときから今年に入って99円台に突入するまで落ちており、年を越えても危機に対していまだ底が見えないままの状態が続いています。
震災前から続く円高ドル安傾向は、欧州の経済危機のあとさらに進み、1ドル70円台後半の水準が当たり前のようになりました。この円高水準はわが国の輸出産業に壊滅的な打撃を与えており、平成23年度末の大手製造業各社の多額の赤字決算の見込値は目を覆いたくなるほどです。
日本において、震災からの早い復興が望まれますが、先進国における経済の悪化の流れが止まらず、国の経済や区民の生活に暗い影を落としています。
国のほうを見てみると、
野田総理は年初の施政方針演説で「新しい日本を作り出す」と話していました。しかしながら、この方針においては増税のための税制改革の理由付けばかりが前面に出ており消費税率アップの部分が目立ち、国家の打つべき戦略は具体的に見えてきません。
本年度、政府は一般会計総額90兆3339億円の予算を国会に提出しております。
このうち、新規国債発行額は44兆2440億円で、税収42兆3460億円を上回り、国債発行が税収を上向く状態が3年続くと言う異常事態となっています。国債の発行は平成19年度予算では約25兆円まで減額していたものが、5年でおよそ19兆円も増額しており、その比率は全予算の49%まで占めることになっています。
国と地方を合わせた債務残高も1000兆円に近づいており、大変厳しい財政状況となっています。
しかし、政府は、バラマキ政策は、既に破綻していることは国民の目にも明らかであるにも拘わらず、政府の平成24年度予算案を見ると、高校授業料無償化と農業者戸別所得補償制度は、そのまま計上されています。また、「子ども手当」については、「子どものための手当支給法」という名称に変え、法律の骨格は実質的に従来の「子ども手当支給法」とほとんど変わらないものにしようとしています。
平成24年度予算でさらに問題なのは、基礎年金の国庫負担分の財源不足約2兆6000億円の財源として、「年金交付国債」を発行していることです。これは国債発行額を44兆円以内に抑えたように見せかけるための苦肉の策であり、借金の「飛ばし行為」のようなものです。また、この交付国債は将来の消費税増額がなければほぼ償還できないと言うものになっています。つまり、消費税増税を既成事実化するという意図も隠されているのです。
ただただ唖然とするばかりです。
それでは、質問に入らせていただきます。
最初の質問は、平成24年度予算案についてです。国政における政局不安定、明るい将来展望の見えない経済状況の中、多田区長は140億余の基金を取り崩し、平成24年度予算案、一般会計2189億3800万円余、特別会計1129億9000万円余、合計3319億2900万円余の予算案を編成されました。大変厳しい中、区民生活の更なる向上に向けて、新規事業5事業、拡充事業65事業を含む本予算案に対する留意点について、お聞かせ下さい。
次に、行財政改革について、お聞きします。
本区は、多田区長の卓越した手腕のもと、これまで、施策の見直しや職員の削減、指定管理者の導入、学校給食調理業務の民間委託、保育園の民営化などの民間活力の導入をして、行政改革を積極的に行ってきました。その結果、平成22年度までの成果として、職員の削減による累積効果として、1047億円、施策の見直しによる累積効果として311億円となりました。平成12年に805億円だった区債残高は184億円に減少し、主要六基金の残高は、694億円増加して、1049億円になりました。健全財政への取り組みを積極的に進めた結果、実質公債費比率は、3年連続日本一となり、その健全性は高く評価されております。そのような本区でも、歳入の35%を占める財政調整交付金が景気低迷により上向きの兆しが見られず、合わせて区税収入も減少しており、何とか基金を取り崩して予算編成をしている状況であり、今後もこの厳しさは続くと予想されます。
一方で、今後、支出が予想されている学校改築に伴う費用や年々増え続ける扶助費や国民健康保険・介護保険の負担は、本区の今後の財政運営に大きな不安となります。
今後は、更に歳出の削減に努める必要かあると思いますが、今後どのように行財政改革を進めていくのかお考えをお聞かせ下さい。
次に財政調整交付金についてお伺いします。歳入のうち財政調整交付金は本区の歳入の35%を占める重要な財源であり、その増減が区財政へ大きな影響を及ぼします。近年は、景気の低迷により交付金の額も年々減る傾向にあります。
その様な中で、2012年度の財調協議が開催され一定の結論が出たと聞いております。区側は特別区の実態を踏まえ、32の事業について「現場の実態に見合った算定を」と提案したのに対し、
都側は、歳入が厳しい状況であるので「需要の見直し」を求め、考え方に大きく開きが出て激論が続いたと聞いておりますが、
2012年の財調協議の状況、今後の財政調整交付金の見通しなど区長の御所見をお伺い致します。
次に、資源ごみ持ち去り行為について質問いたします。今日、多くの自治体において、古紙やアルミ缶などの資源ごみの分別・回収・リサイクルといった取り組みが行われております。しかし、区民によって分別された資源ごみが、何者かによって無断で持ち去られる行為が多発しています。この背景には、再生資源価格が中国等の好景気により需要が高まり、高値で取引されるようになったため、持ち去り部隊を組織して大量に高価な資源ごみの持ち去りを行う者が出現したことが挙げられます。また、資源ごみの集積所においては、区民とのトラブルも発生しており、区民の安全も日々脅かされている状況です。このようなことは、区民の協力によって成立している資源リサイクルの仕組みを揺るがしかねない事態であると同時に、リサイクル意識を損なうことであり、断じて許し難い行為であると同時に、大きな社会問題であります。
本区においても職員や受託回収業者等によるパトロールの実施、資源の回収方法の工夫、持ち去り防止の警告表示等いろいろと対応しているところでありますが、なかなか厳しい状況であります。
我が会派でもこの問題は喫緊の課題であると認識し、いろいろと調査・研究をしたところ、大きくは、3つの案があるのではないかと思います。1つ目は、条例の制定です。東京23区中17区に条例が制定されているという現状があります。「条例の実効性を維持するために、相当額の経費をかけて民間委託によるパトロールを行っていたりまた、この条例をもとに有罪判決となった事例もありましたが、依然として持ち去り行為はなくならず、条例が有効な決め手とはなっていないのが現状です。2つ目は、既に実施している集団回収を強化することです。つまり、ごみ集積所に出された資源ごみは、法的には無主物と解釈されており、犯罪として取り締まることは困難な状況なので、資源ごみはできるだけ集団回収に移行して、所有権を主張できるようにすることです。 3つ目は、新しい考え方で、本区と区民が「資源ごみ回収契約」を締結する方法です。これは本区と区民が「資源ゴミ回収契約」をすることによって区全体で資源ゴミについて所有権を主張できるようにすることです。実際にどのように契約実務を進めていくか課題がありますが、新しい考え方です。
以上のとおり、資源ごみ持ち去り行為を防止する対策としては、いろいろ考えられますが、本区としては、今後どのような方向で対応していくのかお聞かせ下さい。
次に自転車に関連して三点質問させていただきます。
最初の質問は、自転車の交通安全対策についてです。
近年、地球環境対策や健康志向の高まりなどにより、自転車利用が通勤・通学・買い物など日常生活の交通手段として増えています。大いに利用を推進していくべきものであると考えますが、携帯電話で話しながらの走行や音楽を聞きながらの走行など、自転車走行者のマナー問題や前後輪どちらかのブレーキがない自転車、ライトの点灯が全くできない自転車など、整備不良の自転車が多数存在し、交通事故の原因となって社会問題になっています。
都内の交通事故全体に占める自転車関与事故の割合は年々高まる傾向にあり、全国の自転車関与率が20%前後で推移しているのに対し、平成23年中の都内の自転車関与率は37.3%と高い割合を占めています。本区の自転車事故の死傷者数を過去五年間の推移で見てみますと平成17年1361人であったものが平成22年には920人と減少傾向にありますが、区内で発生する事故の約4割近くを自転車の事故による死傷者が占めています。平成22年の死傷者数を年齢別でみてみますと、熟年者が最も高く、次いで若年者と続いていますが、身近で便利な乗り物のため全年齢層に及んでいます。
警視庁が実施した「自転車に係る法令遵守意識等に関するアンケート調査」によると「自転車に係る主な交通ルールに関する知識の有無及び遵守状況」について聞いたところ、対象とした交通ルールのほとんどについて、知っていると答えた者が8割以上でしたが、歩道通行要件について知っていると答えた者は約6割でありました。交通ルールを知っていても守れない理由としては、「通行環境が不十分」と答えた者の割合は58%でした。
以上のことから鑑みると、道路ごとの構造上の特性や利用状況を踏まえて、歩道内の視覚的分離や車道を活用した自転車走行帯等の自転車走行空間の整備や歩行者・自転車・自動車それぞれの通行空間を確保できる場合は、構造分離による自転車走行空間の整備など自転車通行環境のより一層の整備が急務であると思います。加えて、前述のアンケーと結果からも読み取れるように、おおまかなルールは知っていますが、歩道通行要件など詳細なルールについては、知らない傾向があるので、自転車は車両であるということを全ての利用者に認識してもらうことを基本にして、先般の「広報えどがわ」に特集されていたように、自転車安全利用五則や通行ルールを守らなかった場合の罰則や事故発生リスクなどについて、また、交通事故の加害者となった場合に刑事責任を負ったり、損害賠償を求められたりする可能性があることや損害賠償責任保険等の加入の必要性についてもあらゆるチャンネルを活用し、年齢層に応じた分かりやすい周知をより一層努めいただきたいと思います。
特に死傷者数の多い若年者層や熟年者層に対しては、現在実施されている自転車運転免許教室を早期に小学校全校で実施できる体制を整えることや熟年者層に対しても町会・自治会・くすのきクラブ等の協力を得て、この自転車運転免許教室をスタートするなどのより一層の対策を講じることも必要だと思います。
自転車安全対策全般について区長のご所見をお聞かせ下さい。
次に夜間の放置自転車対策についてお伺いします。
本区では河川に囲まれた平坦な地形から自転車利用者がきわめて多く利用されています。それにより各駅前の放置自転車の問題が早くからあり、駐輪場の整備が急がれました。昭和48年に区内で最初の駐輪場が小岩駅で整備され、その後順次駐輪場が整備され、現在は区内12駅に整備されており、毎日多くの人々が使っています。
本区は、昭和59年から放置自転車の撤去をし始め、平成17年度に定めた「放置自転車ゼロ」を目指し、「駅前駐輪場の整備」、「放置禁止区域のエリア実施」、「自転車業務駅別委託による放置自転車撤去啓発活動の効率化」、「自転車利用者のマナー向上」4本柱をコンセプトにした総合自転車対策を開始しました。その結果平成17年度「総合自転車対策」開始当初の放置自転車は、4776台であったものが、平成23年度では370台まで劇的に減少したことは、計画的に進めてきた施策の成果であり高く評価するところであります。
現在、駅周辺の自転車に関する業務、例えば駐輪場運営、自転車の撤去・搬送、返還などの駅ごとに一括で委託することにより効率的に放置自転車の撤去が行われています。しかしながら、撤去が行われない夜間などでは、放置自転車が一斉に現れ、駅前の様子が一変してしまう状況が、駅前繁華街を抱える駅周辺では起こっています。自転車利用者のマナーの問題なのですが非常に残念なことだと思います。
夜間の撤去には、コストもかかります。非常に悩ましい状況でありますが、夜間の駅前放置自転車の対策を考えるべき時期にきており、何らかの対策が必要になってきていると思いますが、区長のご所見をお伺いいたします。
最後にレンタサイクルについてお伺いします。
都市交通の一つの手段として、自転車の利用促進を図る、自動車からの利用転換を促進し、環境負荷の緩和を図る、自転車を共有することにより駐輪場の有効活用を図ることを目的に平成21年に葛西地区(葛西駅、西葛西駅、葛西臨海公園駅)の3駅でスタートしたレンタサイクルの社会実験は順調に拡大し、平成23年7月には、船堀駅と一之江駅を加えた区内5駅で駐輪場を拠点に事業を実施しています。
利用形態としては、定期利用として一ヶ月1500円、これは、借りた駅にかならず返す必要があります。もう一つは当日利用 一日100円 コミュニティーサイクルという形式で、レンタサイクルの実施拠点ならどこでも返せるとい形態で運営されています。レンタサイクルの事業をスタートしたばかりの一之江駅や船堀駅は別にしても、平成21年度にスタートした葛西地区では当日利用回数が1か月3000回を超える月も多くあります。また、レンタサイクルの保有台数に対する1日あたりの利用回数いわゆる回転率は安定的に100%を越えており、多い月では150%を超える月もあるほど利用されています。
駅前看板の設置や宣伝のぼりの増設などの宣伝強化を実施すれば、更に利用者数を拡大することができると思いますので、是非広告宣伝の強化をお願い致します。
レンタサイクルは、レンタサイクルポートがより多く設置されることによって利用者の利便性が向上し、更には利用率の向上にもつながるといわれていますが、今後のレンタサイクルポートの増設予定についてのお考えと、現在は社会実験中とのことでありますが、本格実施に向けてどのように考えているのか区長のご所見をお伺いいたします。