決算特別委員会総括意見

決算特別委員会の最終日、区議会自民党を代表して平成19年度各会計に対する総括意見を表明しました。
総括意見全文です。

平成19年度各会計決算に対する区議会自民党の総括意見

平成20年10月8日
高木秀隆

私は区議会自由民主党を代表して、平成19年度各会計歳入歳出決算に対し、去る9月24日より本日までの八日間に亘る審議を踏まえ、区議会自由民主党の総括意見を申し上げます。
我が党は去る9月22日総裁選挙を実施し麻生太郎自由民主党幹事長を第23代総裁に選出しました。
更に、24日召集された臨時国会において、麻生太郎首相が誕生しました。総理は「まずは、景気対策」を掲げ、家計を豊にする特別減税を含む「緊急総合対策」を実施するとしています。更には、高齢者の医療制度の見直しをはじめ、長期に安定し、信頼できる社会保障制度を確立すると同時に、いま日本を覆っている閉塞感を具体的な政策で必ず打ち破り、力強く、そして明るい日本を取り戻す「麻生が、やりぬく」と約束しており、今後、国民の期待にしっかりと応えていくものと確信しているところでございます。
さて、平成19年度を振り返ると、この年は「偽」に始まり「偽」に終わった年であったと思います。日本漢字能力検定協会が選ぶこの年の漢字は「偽」と決まり、年末に清水寺の貫主が筆で書いたというニュースは記憶に新しいと思います。食肉や野菜の産地偽装、賞味期限改ざんなど毎日口にする食品に次々と偽りが発覚した食品偽装問題や歴史と伝統を誇る老舗の土産物や名門料亭の偽装、更には、社会保険庁の度重なる不祥事により引き起こされた、年金偽装等、次から次へと発覚し、何を信じたらよいのかわからなくなった年でした。一方、経済に目を向けると、日本経済は6年間に及ぶ戦後最長の景気拡大と報じられてきましたが、サブプライムローン問題に襲われた米国経済の減速、円高、株安という3つの壁が大きく影響し、国内経済の減速懸念が一段と強まった年でもありました。
加えて、多くの世界的資金が「商品」というものに集中した結果、ここ2年ほど高騰し続けてきた原油価格をさらに押し上、ガソリンなどの燃料価格や小麦・大豆を初めとする穀物価格も異常ともいえる高騰を引き起こし、輸入に頼らざるをえない日本にとっては数多くの原料や商品の価格を跳ね上げさせています。こうした価格上昇は、企業の収益を圧迫するばかりでなく、賃金が伸びない状況の一般家計に多大な影響を与えています。
こうした経済情勢の変化にあっても、本区は平成13年から多田区長を本部長とする「江戸川区健全財政推進本部」を設置し、①共育・協働による区政の推進②組織のスリム化と職員数の削減③IT化の推進④民間活力の活用⑤施策の見直しなど、集中的に行財政改革に取り組み、区民生活に必要なサービスを長期的・安定的に行うことができるよう多大な努力を重ねて参りました。
特に施策展開においては「共育・協働のまちづくり」の理念のもとボランティア立区実現のため、「すくすくスクール」、「チャレンジ・ザ・ドリーム」、「えどがわエコセンター」など「地域力」を積極的に活用した施策や江戸川総合人生大学など社会貢献の心を育て、将来の「地域力」の核となる人材を育むための施策などを効果的に展開しているところは高く評価するところであります。
この改革の成果を主な財政指標で比較してみますと、①区債残高は平成18年度351億円だったものが、平成19年度は159億円減少して192億円②基金残高は平成18年度より23億円増加して916億円③経常収支比率は、平成11年度の86.8%をピークとして比べると19年度は16.6ポイント改善され70.2%になりました。23区中3番目に良い経常収支比率であり、財政状況は大きく好転してきており、行財政改革の成果が数字の上でも明らかになってきています。また、地方公共団体の財政状況が健全であるかを判断する指標として、本年より公開することとなった4つの健全化判断比率についてでありますが、①実質赤字比率は、早期健全化基準11.25%のところマイナス4.38%、連結実質赤字比率は、同じく16.25%のところマイナス5.82%、実質公債費比率は、同じく25%のところ1.7%、将来負担比率は、同じく350%のところマイナス109%と極めて良い状態であります。
更に、19年度におきましては①子ども医療費助成の対象拡大②乳児養育手当の充実③中学校32校の普通教室へのクーラー設置④松江区民プラザの開設⑤篠崎文化プラザの整備⑥公共施設予約システム「えどねっと」の開設⑦安心生活センターの設置⑧新川千本桜構想による修景整備⑨水辺のスポーツガーデンの整備⑩シャトルセブンの運行⑪区役所庁舎の窓口業務の夜間延長など113事業に及ぶ新規、拡充事業が展開され、その成果は多大であります。
以上の観点から、我が区議会自由民主党は、平成19年度各会計歳入歳出決算の報告に対し、所期の目的を達成し、区民の期待に十分応えたものとして、認定に賛意を表するものであります。
なお審査の過程で述べてまいりました、いくつかの課題並びに提言・要望いたしました事項につきましては、今後の諸施策に反映されますようにお願致します。
具体的に主なもののみ、改めて述べたいと思います。
先ず、一般会計歳入について申し上げます。

○特別区税について
特別区税は本区財政の根幹をなす財源であるので、徴収率の更なる向上のための方策として、コンビニエンスストアでの納付、クレジットカードでの納付など納付機会の拡大を要望します。
続いて一般会計歳出について順次申し上げます。

総務費に関連して申し上げます。

○「青少年の翼」事業について
未来を担う青少年の人材育成の観点から、体験者達のOBネットワークの確立、共育プラザとのコラボレーション、「夢舞台体験枠」の創設などの新機軸を整え、この夢事業の大いなる発展を要望します。

○情報処理体制の再整備実施について
窓口サービスのワンストップ化・ノンストップ化といった身近で便利なサービスの実現や行政の効率化・迅速化・高度化による、より質の高い区民サービスの実施など、多岐に亘る効用が期待されるものであり、行政改革に直結するものであるから、区政改革の中心として、力強く推し進めていくことを要望します。
次に区民生活費に関連して申し上げます。

○住民票等自動交付機について
区民サービスの更なる向上のため、自動交付機の設置場所を現在の設置場所から駅前、コンビニエンスストア、ショッピングセンターなど人が多く集まる場所へと幅広く再検討することを要望します。

次に産業振興費に関連して申し上げます。

○商店街支援について
厳しい状況下ではあるが、商店街は、産学公の連携プロジェクト推進や商品券特別セールなど、独自の創意工夫と努力で再生への意欲を持っている。アイデアの提供や各地の商店街における成功実例紹介など更なるバックアップを要望します。

○中小企業対策について
現状を正しく把握することが重要であり、区職員が直接、事業所・工場等現場を訪問し、その実態を調査した上で、実情に応じた対策を講じるようお願い致します。
次に環境費について申し上げます。

○「エコタウンえどがわ推進計画」について
本年2月に策定された「エコタウンえどがわ推進計画」の目標達成のためには、区民・事業者・区が一体となって取り組んでゆかなければならない、事業所にとっても経費の削減や環境企業としてのイメージアップ等メリットの大きい、無料省エネ診断を積極的に受けてもらうようPRに努めてゆくなど、「日本一のエコタウン」実現に向けて、本計画の力強い推進を望みます。

次に福祉費に関連して申し上げます。

○介護施設について
要介護度が重度であるにもかかわらず在宅介護で頑張っている方も多い。こうした方が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、支援するための地域密着型サービスを一層充実するとともに介護施設の更なる整備を進めるよう要望いたします。

○一人暮らしの熟年者対策について
一人暮らしの熟年者が孤独で寂しい生涯を閉じることのないよう現在の見守りネットワークを堅持すると共に、地域住民も巻き込んだ更なるネットワークシステム作りを要望します。

次に都市開発費に関連して申し上げます。

○住宅耐震化助成について
大幅に拡大された耐震化助成制度を多くの区民に利用して頂くために、一般区民向けの説明会などを積極的に展開すると共に、マンションのような集合住宅の合意形成の為の支援を要望します。

○次に土木費に関連して申し上げます。
防災センターについて
地震や洪水などの自然災害だけではなく今後、テロリストや新型インフルエンザウイルスによる災害なども想定して対処できる万全な体制を作り上げることを要望します。

○瑞江駅周辺の駐輪対策について
瑞江駅周辺の迷惑駐輪は、地下駐輪場の整備により大幅に減少したが、今後の駐輪需要を考えると増加が予想されるので、更なる駐輪場建設を要望します。

○ 「新川千本桜計画」について
江戸の時代より「塩の道」として栄えた新川であるが、その歴史と文化を次世代へと継承してゆく空間とすべく、「新川千本桜計画」が策定・実施されている。整備の実施に伴い、地域の気運が高まりつつある中、人道橋・広場橋の設置や桜の植栽といった名所づくりを進めていくとともに、新川千本桜の会や関係各種の団体、そして地域住民の主体性ある賑わいづくり・名物づくりを積極的に支援し、葛西地域の活性化と融和を実現していただきたい。

○ 小岩地区・篠崎地区のスーパー堤防事業について
本区は、川や海に囲まれたゼロメートル地帯であり、治水対策を怠ることはできない。これから将来に向けて、ほんの少しでも江戸川沿川の堤防の安全性に問題があるとするならば、あらゆる困難を乗り越えてスーパー堤防計画を推進し、江戸川沿川の治水能力を最大限に向上させることを要望します。また、今後事業を推進していくに当たっては丁寧に、わかり易い説明を地域住民に対して粘り強く実施していくことも合わせて要望いたします。
次に教育費に関連して申し上げます。

○不登校児への対策について
「不登校児」が年々微増傾向にあるが、家庭と学校の連携強化を図り、きめ細かい対応を要望します。更には、根本的な要因解明を進める中で、独自の不登校児更生システムを研究していただくことを要望します。

○ 学力向上について
学力テストの結果を踏まえ、本区の児童・生徒の学力のどのような部分に弱点があるのか検証し、学力向上につとめることを要望します。

以上でありますが、今後、地方分権の推進により地方自治体の役割が拡大し、地方自治体は、自らの責任と判断で地域住民のニーズに主体的に対応していかなくてはなりません。本区の歳入は平成19年度において特別区税が500億円を超え506億円となったものの、財政調整交付金や国、都支出金が歳入全体の、58.4%を占め依存財源が歳入の中心である状況が続いています。
一方、歳出は区民ニーズの多様化や人口増に伴う行政需要の高まりや、少子高齢化の進展にともなう社会保障費の増大、更に学校改築費用など、大きな財政負担が予想されます。多田区長におかれましては、こうした状況を踏まえて更なる行財政改革に取り組まれ、新しい時代に合った新しい行財政システムの確立に、より一層のご尽力をお願いいたします。
我が区議会自由民主党は、多田区政に対する全面的な支援と共に、67万区民の更なる生活向上のため、高い志と強い意志をもって、議会に課せられた使命を果たすべく最善を尽くして参りますことを表明して総括意見といたします。
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